さて、遂に二桁目に突入しましたウルQお勧め話。第十回の今回は「1/8計画」を飛ばして第十八話「虹の卵」です。
「1/8計画」も特撮は凄いんですが…それだけなんですよねぇ。話としてはちょっと微妙。しかも夢オチ。
イヤ、夢オチが嫌いってわけじゃないんですがね?どーせ夢オチにするならもっと夢らしいか、もしくは壮大でないとなぁと思うんですよ。例えば超光戦士シャンゼリオン級の壮大な夢オチでないと。アレは壮大すぎる気もしますがw
まぁとにかく「虹の卵」です。この話の何がいいかってやっぱり「大人の世界」と「子供の世界」の同時進行が完璧に成立してるところですね。子供らしい夢のある御伽噺みたいなものと、怪獣や街に対応する大人の世界とが見事に両立されています。
そもそも「怪獣」という存在自体が我々の現実からすれば「空想」そのものなわけですが、然し「ウルトラQ」の中では確かに存在するものなわけで。それに対抗する大人達というその世界では当然の現実と子供の夢が合わさった「特撮番組」として完成されたスタイルの話の一つだと思います。
また、子供達サイドの方で最後に起こる「奇跡」。これが「人間が最後まで諦めずに、もがきあがきぬいた先には必ず奇跡が待っている」というウルトラシリーズのどこかで言っていた事と重なって見えて何だか嬉しいんですよね。これどこで言ってたんだっけな?メビウスだかガイアだかそのへんだったと思うんですけど。ちょっと忘れてしまいました。
また、登場する怪獣のパゴスが実に傑作です。まぁ、ある意味当たり前なんですが。
というのも、このパゴス。東宝の映画「フランケンシュタイン対地底怪獣(と書いてバラゴンと読む)」に登場したバラゴンの改造だからです。
着ぐるみの流用…というのは当然お金を少しでもかけないようにする為にやる事ですが、然し同じ流用するならやはり元がいいものを流用した方がいいに決まっています。
バラゴンはマニアに高い評価を受けている人気怪獣で(あくまでもマニア内ではですが)、哺乳類らしさをもった四足歩行型怪獣です。そしてタイトルにあるように非常に「地底怪獣」らしい造形でもあります。
「地底怪獣」らしい、というのはそれだけでもう怪獣のデザインとして秀逸であるといっても過言ではありません。
何故かと言うといくら怪獣という存在が一般に認知されている世界であっても、怪獣は常日頃から街中を闊歩しているわけではないからです。たいていの怪獣は普段は地底とか海中とかの人目の付かないところで活動しているわけです。人目に付くところに常に怪獣がいれば防衛組織が出てきてすぐに退治してしまいますからね。
だから、地底から出てきた怪獣が本当にこいつは普段地底の中に隠れ住んでそうだなと思わせられるデザインをしていれば、そこには大きな納得感と存在感が生まれるわけです。
そういう意味でこのパゴスも、元になったバラゴンも非常に存在感のある素晴らしい怪獣に仕上がっています。それは更にこの後にも幾度も改造され流用されてきた事実からも証明できるでしょう。
最終的に、「虹の卵」は大人の話としても子供の話としても、怪獣という観点から見ても、どこから見ても隙のない話なのです。
この間のカネゴンの話と同じく自分のウルQお勧め話ベスト5のうちの一本です。
そうそう、パゴスの魅力はリンクしている怪獣ブログ様でも記事にされています。「2004年9月」の「パゴス」です。また、元になったバラゴンの記事も「2004年8月」の「バラゴン」に書かれていますので是非。